合コン

暴露してしまうと初合コンは確か高1の夏前とおいらにとっては結構早いんです。今のおいらには考えられない早さ。

といっても好きでやったわけではありません。報復を恐れて仕方なくやったのです。

恐怖の始まりは家にかかってきた1本の電話から。

ママンがお鮨電話よ。と言いました。誰からと聞くとどうやら小学校時代の同級生らしいのですね。

受話器を取り、もしもしと話しはじめるとそれは同級生のAちゃんでした。

卒業以来連絡なんか取ってない(取るわけがない。中一、二の時に年賀状はきた。)し、何だろうと用件を尋ねたところ

「今度遊ぼうよ」なんていきなり言い出すのですね。

Aちゃんは小学生の頃おいらのことを好きでいてくれたようでして、バレンタインデーにチョコレートも手作りのを毎年貰いましたし、誕生日会も呼ばれましたよ。なんか男女2対2で遊んだこともありました。

今となってはもっと踏み込んでおけばいいと思うことこの上なし何ですが、小学生の男子というのは基本的には恥ずかしがり屋ですよね。
ちょっと女子とくっついてたりすると周りの男達がヒューヒューなんていったりする。だから、それを恐れて女子を突っぱねてしまう。こんな感じです。

おいらもその典型でした。
だから、バレンタインデーの日である女の子が「チョットこっち来て」って言ったのに「やじゃ」って言ってバックレた時もありました。

その年のバレンタインデーにバックレて家に帰ったら、Aちゃんはおいらの家までチョコレートを届けに来てしまったんですよ。さすがに家に来られてしまったので受け取らないわけにはいきません。エントランスまで降りていって受け取りました。

Aちゃん好かれてると思いきや、理由は忘れましたが、思いっきり首引っかかれたり喧嘩をすることもあったりして、トータル的には嫌いな女子の中に入っていました。

だいいちその当時は両想いの子がいたからAちゃんはどうでも良かったんですよ。


話を元に戻しますと、いきなり遊ぼうって言われても乗り気ではありませんでした。そんな好きでもなかったですから。それに当時は彼女なんて別に欲しいと思っていませんでしたし、バスケ命の青春真っ盛り。

でも、断ったら何をされるか分からない。ヤンキー連れてきてボコボコにされたり、無言電話されたり、究極的にはコンクリート詰めにされて川にドボン!そんなことをやりそうなポテンシャルを秘めたAちゃんなのです。

だから、渋々了承しました。サシで会ったりしたら何をされるのか分からないそんなAちゃん。だから2対2にしてもらいました。

次の日学校に行き、誰を道連れにしたら良いか選別したところ親友のNを道連れにしていくことにしました。Nとは家がまあまあ近めだし、同じバスケ部ということで。

ちょうど期末試験が終わったので、答案返却日の日を会う日に指定しました。答案返却の時は午前で終わるので午後会うことに。

待ち合わせ場所は東急ハンズの前。Nと二人で待っていると前から来る2人の女子高生が・・・。

Aちゃんだぁぁぁ!!!
まあ、2人は当時の女子高生って感じでしたよ。おいらはルーズソックスというものが嫌いでして、あのダブダブ感がイヤでイヤでショウガナイ。ブレザーにルーズソックスよりもセーラー服に足首までの靴下派でしたからね。

元から乗り気ではなかったのに加えルーズソックスのAちゃん達に会ったことであのときのバレンタインデーのようにソッコーバックレたくなりましたが逃げるわけにも行かず。頭の隅にはヤンキーにボコボコにされている姿が見えてるし・・・。

とりあえず何処か座ろうということになり、ダイエー前のマックに入りました。

挨拶して、自己紹介して、会話をしているときおいらは精神をバックレさせました。2階の窓際の席に座っていたので、目の前にあるダイエーの屋根にいた鳩を眺めて、お前たちは自由でいいなぁ。と、うわの空。

そんなおいらだからAちゃんはNに「私たちの方が同級生みたいだね」と言う始末。でもいいんです!イヤなんだから。

次の日にもNがあの時周りにいた男達がAちゃんのことじろじろ見てたぞ。とか言ってるし。まぁ、確かに一般的な目で見て美人だしほっそりしているんですが、おいらはそれだけでは動かされません。むしろ性格・波長を重視するので、昔のAちゃんを知っているおいらには関係がないのです。
トドメを刺すと美人よりかわいい、ほっそりよりポッチャリが好き。もう全てがアウト!

マックでの話が終わってこれで解放されると思いきやカラオケに行くことになってしまったのでありました。生まれてこの方カラオケなんぞしたことがないですし、自称音痴なものでありますから、歌を歌うことはトコトン拒否!3人で二時間歌わせて、おいらは精神をあっちの世界へ飛び立たせて適当に拍手したりしてすごしました。さすがにここまでするのはマズイと思ったので罪滅ぼしとして4人分のお金は払いましたよ。歌わなくて済んだので安いもんです。

ヨッシャー、これで帰れると思いきや、ビブレの階段のところでまたトーク。このときはおいら少し喋ったようで、Aちゃんが「やっと喋ったね」と言ったのを鮮明に覚えています。

会話が終わって、今度こそ、今度こそ解放される。あの鳩のように・・・。
と思ったら違った。

Aちゃんがプリクラ撮ろうよなんて言いだしやがるんです(T_T)

プリクラもこれが初デビューですね。4人で撮って、ホントにホントに家に帰れるんだわーいわーい♪と思っていたら、Aちゃんが「2人で撮ろうよ」なんてホザキやがった(`Д´)ノ

「もうイヤじゃ!アホウ!」と言うわけにもいかず全てはAちゃんのなすがままに。
さらにはハートのラブラブ感をかもし出すフレームを選んでましたがもう時の流れに身を任せて撮影終了。記録が残ってしまいました。あぁ、恐ろしい

帰り際にAちゃんが自分の携帯番号を書いた紙を渡してきて、「電話してね♪」と言ってきたので適当に返事してNを引きつれ逃げました。

こんな感じで初合コンは終わったのであります。ホントイヤだったのでAちゃんに対して少しは悪いなぁと思いながらもプリクラも携帯番号が書いてある紙もすぐに処分しました。

あれ以来、Aちゃんから連絡は来ません。ヤンキーにもボコされてません。無言電話もありません。コンクリート詰めにされずこうして生きています。

後にAちゃん情報を得ました。当時Aちゃんはモデルをやっていたそうです。テレビにも少し出たみたい。そして、その頃、男遊びも激しかったようで。

危うくおいらも遊ばれるところだった。オクテであって良かったと思います。


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